見かけはケバケバしいが、身は白身で柔らかい。あらいにするなら酢みそで食べるのが一番。煮付けなら水少々に砂糖、しょうゆ、酒で薄味で甘辛く煮るのがコツ。柔らかいのでみそ漬けにしてもいい、塩をして一時間ほどおき、身を締めてから漬け込むこと。みそは塩少々にみりんと酒を練り合わせた白みそに限る。
鍋物にする場合はいったん湯引きすると、アクがでなくていい。こんぶを一枚敷いた土鍋にブダイと豆腐、白菜、春菊などをいれて食す。たれは、ポン酢にあさつきのみじん切りを加えたものがあう。
切り目を入れた小カツオに串を刺して焼いた風味のある一品。ほどよく焼けたら生姜醤油でいただく。小カツオは山菜と煮たり、うどん、そばの出しなどにも使われる。
テゴコシ(きちょうめん)
(例)アリャ、ガイナ、テゴコシ
あいつは、すごく、きちょうめんだ
豊作を祈願し、感謝する百姓の祭。
昔から9月1日に、呼崎の養海院境内で盛大に行われているが、近年は9月最初の日曜日となっている。
たかぼっさん
昔から西長島の船は、どんな漁船でも、そこのないひしゃくを一本つんで沖へ出たものです。大島や佐波留にかけての沖のダイナ(海原)の底に、たかぼっさんという大入道がすんでいて、ふだんは光もとどかぬ青ぐろい海底で、グワラグワラと高いびきでねてばっかりおるくせに、アラシにでもなり海原がジャバジャバとさわがしくなると目をさまして起き上がり、沖じゅうをのっしのっしと歩き回るのです。
なにしろ空に頭がつかえるという大入道のことです。これに見つかるとどんな逃げ足の速い船でもたちまち追いつかれとっつかまえられてしまうんです。このたかぼっさん、大入道のくせに水遊びが大好きで、アラシの中でにげおくれた船をつかまえると、片手でがっしりととも(船尾)をつかまえて「ひしゃくかせえ、ひしゃくかせえ。」と、ほえたてるんです。言いつけどおりひしゃくをかそうものならたちまち船いっぱいに水をくみこまれ、船を沈めてしまいます。だから、そんなときのために、あのつみこんでおいた底のないひしゃくを、さっと差し出してやるのです。それを受けとったたかぼっさん、いくらがんばっても、すこしも船に水がたまりません。そのうち、アラシがしずまってくると、元気がなくなってくるたかぼっさんは、ひしゃくを投げすててジャバジャバと、沖のダイナの海底へ、ひきあげていくのです。まだ機械船のなかったころは、この西長島には、たかぼっさんにそこのないひしゃくをかした老人たちが何人もいたそうですよ。