「町屋と人形さまの町おこし」新潟県村上市を先進地視察
全国展開支援事業プロジェクトの一環として、住民による町おこしがマスコミやTV番組でも紹介されるなど、全国的にも注目を浴びている新潟県村上市へ視察研修に伺いました。
研修は村上市の町おこしに深く携われてこられました、当全国展開支援事業プロジェクト実行委員の専門家・鈴木成治先生とその建築スタッフのみなさんのご協力により、1月25日(火)~26日(水)の両日、市内随所をご案内いただきました。
村上市の人口は合併により7万人になりましたが、元々は紀北町の1.5倍にあたる人口3万人規模の町です。古くから新潟県最北の城下町として栄えてきた町で、「町屋造り」と呼ばれる伝統的建築様式の住宅や商店が点在する、風情ある街並みを再現しておりました。
視察参加者には予想通りの雪でしたが、新潟県でも北部の海岸沿いは雪も少なく、今年の大雪は珍しいとの事です。
大洋酒造:米どころ新潟で、酒米と蔵の持ち味にこだわる品質本位の地酒蔵です。
村上は、武家屋敷・町屋・寺町・城跡といった城下町としての四大要素が残る、全国的にも希少な城下町でした。しかし、平成9年頃、町屋が多く残る町人町に道路拡幅を伴う大規模な近代化計画が持ち上がりました。最初は商店街の人をはじめ住民も大賛成でしたが、「そんなことをしたら城下町の価値は失われるし、道路を拡げて成功した商店街は一つもない。」と、必死の思いで近代化に反対、市民の意識を変えたのが今日の村上再生の第一人者であり、村上町屋商人会代表で国土交通省認定の観光カリスマにも選定されている「味匠喜っ川」の吉川真嗣さんです。
当日は真嗣さんと共に村上の町おこしに取り組み、その著書も出版されている奥さんの吉川美貴さんより、これまでの活動についてお話をしていただきました。
村上の町屋は、一歩店の中に入ると通り土間や囲炉裏の茶の間、美しく黒光りする太い梁と大黒柱、また吹き抜け天井も高く江戸や明治時代にタイムスリップしたような気分になります。
これら町屋は一般の方々にも公開されているところも多く、村上の魅力ある散策ポイントのひとつとなっています。
慶応三年創業、村上を代表する「割烹 新多久」さん。食材の宝庫、村上で一流職人が腕を振るう心のこもった料理は絶品の一言でした。こちらの女将も吉川さん同様、町づくりの立役者(黒塀プロジェクト代表)で色々とお話をしていただきました。
平成18年4月に新装した「割烹 新多久」さん 鈴木先生の設計です。
村上の物産で特に有名なのが「三面川の鮭」。平安の昔から歴史を持つ、全国ブランドです。鮭料理も100種類以上あります。
【村上の主な取組み】
町屋の公開、町屋の人形さま巡り、町屋の屏風まつり、宵の竹燈籠まつり
黒塀プロジェクト・町屋の外観再生プロジェクト
村上は地域固有の資源を活かし、活力ある歴史の町として蘇りました。全国ブランドとなったこれらの取組みや数々の催しは行政主導ではなく、商人・民間・住民の知恵と力で成り立っていました。